* 夜 天 *

星が流れた・・・。
すうっと尾を引くように。
「・・・流れ星?」
一つ星が流れ。
そのあと、次から次へと星が夜空を駆けていく。

夏休み後半。
毎日の自堕落な生活がたたり、昼夜逆転してしまった那智は
眠られずベットに横になりながらなんとく天窓を見上げていた。
「・・・流れ星?」
ふと目の前を横切る一筋の光・・・。
だが一筋の光はやがて・・・。
一筋が二筋、二筋が・・・。
「流星群だ!!」
那智は体にまとっていたタオルケットを思い切り蹴飛ばし
2階の自室から階段をかけ降りた。

そっとベランダの外へ出ると、明け方近く特有の湿気を含んだ冷気が体を包む。
その凛とした空気にさすがに秋が近いのを那智は感じた。
そして空を見上げるとそこには・・・。
「!!!」
視界いっぱいに広がる、濃紺のスクリーンの端から端を絶え間なく 華麗に舞う幾千の星々。
右を見ても左を見ても。
どこを見てもどこで見ても頭上に降り注ぐ光のシャワー・・・。
まばゆいばかりの光が凛とした空間を切り裂いて・・・。
それは。
それは壮絶に綺麗すぎるほどの。
星々のショータイム。
那智は感嘆の声も上げず、ただただじっと夜空を見上げていた。

・・・そしてしばらくののち。
最後の光が闇に飲み込まれ。
あたりは再び静寂と闇に包みこまれる。

そのショーは時間にして数十分ほどだったろうか。
が、那智にとってそれはとても長く、また一瞬の出来事のようにも思われた。

・・・ふと那智の頬に一滴光が伝う。
それに気づいた那智は恥ずかしそうに、手の甲でぬぐうと 急いで家の中に入っていった。

それは静かな夜明け前。
ひっそりとベランダのアサガオのつぼみが開く頃・・・。



2003'7'02
Yahoo!掲示板に投稿したやつ。
3つのお題
「流れ星」「タオルケット」「アサガオ」より。
2005'3'02


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